本研究では、これまで数少ない研究対象となっている妊婦を対象に栄養摂取状態、食行動、生活習慣、精神健康度などの個人生理要因および教育、仕事、所得などの社会経済要因も補足的な解析要因として多様な側面から解析を行うコホート調査である。それらのデータを解析変数に入れて母親、父親、児の生化学データとの関連を検討する。解析から得られたデータを基に、母体の健康維持・増進を目的とした介入プログラムの作成およびその普及効果の検討を行う。 平成28年度は、一部の解析結果を論文化した(現在、Journal of Epidemiologyに投稿中)。妊婦のカフェインについて、妊婦の血中葉酸と緑茶類を含むカフェイン含有飲料との関連について解析を行ったものである。カフェイン含有飲料の摂取量に伴い、食事性葉酸は増加傾向にあるにもかかわらず血清葉酸が減少する傾向が見られた。本研究の結果から、血中葉酸とカフェイン含有飲料との間に関連があると考えられた。そのため、妊婦はカフェインを多く含有するコーヒーだけでなく、緑茶類の摂取についても注意する必要があると考えられた。 また、妊婦の食事パターン形成ための具体的な解析方法の確立に関する研究を進めた。今後、さらにこの食事パターンと母親の社会経済要因および児の健康情報との関連、そして妊婦の食事パターンおよび食行動とパーソナリティについて解析を進める予定である。この解析結果が、母体の健康維持・増進を目的とした介入プログラム作成に不可欠であると考える。
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