研究課題
本研究は、ASD発症を超早期に予測しうる、小児発達学的要因と環境要因(家庭環境&養育者に関し)を絞り込むことを目的とする。既にAutism Spectrum Disorder (ASD)を抱える子がいる家庭のみが対象であり、更にはtiming良く次子妊娠・出産を予定する家族に限定されたsample収集となるため、少子化のあおりも受けてか参加家族を集めることが最大の難関である。加えて、2014年度から研究の遂行を担う分担者が、全く異なる文化背景を保有する土地に異動し研究に割ける時間も激減したため、新規に研究参加者を募るPR活動が滞っている。2015年度は研究分担者の住む地域を中心に、親の会や職務上の繋がりなどを通して引き続き参加者募集のための営業をしつつ、参加親子の収集と家族の心理的支援に努める。HR-caseとなる児が出生後、分担研究者の教示の下、生後1,4,6,10,14,18,24,30,36ヶ月と親子を追跡し、標準化された評価尺度や小児神経学的指標を用いて児の発達の経過を包括的に評価する(評価の様子は全てDVDに記録される)。加えて母親の妊娠中に1回、産後9回に亘って種々の環境要因に関する情報を、養育者への直接インタビューにより聴取する。集積されるデータを、ASD超早期兆候の候補として定量化記録する。生後18ヶ月からM-CHATを用いたASDスクリーニングを行い、ASD疑いの児に関しては、追跡調査担当者以外の、発達障害を専門とする小児科医もしくは児童精神科医が、DVD記録も参考に診断確定を行う。加えて24ヶ月時点でADOS-GとADI-Rを用い診断を確定する。
4: 遅れている
平成27年度は育児休暇取得であり、分担者も異動により研究遂行するための環境が大幅に変わったため。
平成28年度~は引き続き対象者の募集と追跡を継続する。18ヶ月小児科健診を待たずに超早期発見されるASD児は適宜、各研究拠点に置いて療育プログラムに参加させる。ASD疑いとされた個々のケース毎に、①Vineland Adaptive Behavior Scales ②ADOS-Gの2つを用いて療育開始前と開始半年&1年後における児の特異的症状の度合をpre-post検証する。更に療育効果(症状改善度)に影響を与える要因についても検証する。平成29年度以降は追跡調査の結果から1・4・6・10・14・18ヶ月齢を説明変数とし児の出生順位、性別、在胎週数をcovariateとするmixed modelingを用いASD群とHBC-Studyのnon-ASD群ごとの発達の推移をモデル化する。ASD診断と有意に関連する指標を絞り込み、HBC-Studyから見出されていた(仮)ASD診断アルゴリズムの改定を行う。アルゴリズムの感度と特異度が共に85%以上であれば、臨床現場における診断補助尺度としての普及を目指す。療育効果のpre-post検証はWilcoxon signed-rank testを用いグラフを用いて視覚的にも表す。症状改善度に与える要因探索にはregression modelを用いた検討を行う。解析から得られた知見を、』研究拠点の療育現場で共有し個々のASD児に即した療育プログラム策定の資料として活用して頂くと共に全ての研究成果を学会・論文発表していく。
対象者の収集が予想以上に困難なため、従ってデ-タ集計、入力、解析、等に係る費用や消耗品の費用も予定より下回った。
次期、研究再開時には更に参加者収集を進め、データ入力と解析に時間と労力を投入する予定。
すべて 2014 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 図書 (3件) 備考 (1件)
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http://wwwr.kanazawa-it.ac.jp/wwwr/lab/lps/index.html