研究課題
1)1930年代後半から40年代前半(戦前)の女子教育制度と進学状況の基礎データを整理するとともに、女子学生文化、家族のあり方、女性の労働、性役割、セクシュアリティなどについての、近代的なジェンダー秩序の形成や変容に関わる論争や大衆文化・流行に関する年表的なデータ整理を文献を基におこなった。これらについて、高齢女性のライフヒストリーを聞き取る際、無意識のうちに影響を受けている文化や風潮、できごとについての記憶を呼び起こす触媒としての役割を担えるよう、インタビューガイドの形に整理をおこなった。2)上記の資料を活用しながら作成したインタビューガイドを基に、戦前に女子高等専門学校や高等女学校に通った経験のある女性を中心に高齢女性へのインタビューを実施し、総勢18名からライフヒストリー・データを得ることができた。一人に対して複数回のインタニューをおこなった場合もあり、ほとんどの場合、かなり長時間のデプス・インタビューを実施することができた。これらのデータを文字起こしし、インタビュイーのチェックを経て、ライフヒストリーとして公表の許可が出たものについて、報告書を作成すべく、分析考察をすすめている。3)またインタビューと並行して、インタビュー対象者およびそれよりも少し上の世代が1930年代に愛読していた女性向け通俗小説について、代表的な通俗小説作家のひとりとして加藤武雄に注目し、加藤の親族や関係者への聞き取り、および資料収集をおこなった。加藤武雄は、通俗小説のみならず、本来の志であった農民文学、また子ども向けの読み物など、大量の作品を発表しているが、ほとんど図書館などに所蔵されていないため、古書で収集し、その物語分析や通俗小説についての彼の思想を明らかにするとともに、通俗小説をめぐる議論などを整理した。
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Osaka Human Sciences Graduate School of Human Sciences,
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教育学年報
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