戦前の大衆的な婦人雑誌の内容分析の研究成果を生かし、当時の読者層であったと思われる、1930年代か1940年代にかけて高等女学校に通っていた世代の高齢者女性にライフヒストリーのインタビューを行い、メディアの内容と受け手の女性読者の生活や意識を関係づけることを試みた。その結果、家庭における女子への教育方針や高等女学校などの文化、当時の戦時状況などと関わりながら、マスメディアが女性たちにとってそれぞれの意味をもったことがわかってきた。今回注目した、婦人雑誌連載の大衆小説については、明確に小説名や作家名が語られることは少なかったが、日常の楽しみとして親しみ、潜在的な影響を与えていることが示唆された。
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