本研究は母子世帯の経済的貧困の原因と貧困削減を可能とする要因について、家族的資源、雇用、社会保障に焦点をあて検討した。離別、未婚母子世帯割合の上昇が貧困拡大の要因となりうる一方、三世代世帯割合の上昇は家族資源による貧困回避手段である可能性が示唆された。経済的支援よりも双方向的なケアの授受が同居可能性を高めていた。配偶関係別相対的貧困率は、離別、死別、未婚の順に高い傾向にあった。税・社会保障による貧困削減効果は死別で大幅にみられたが、離別では2000年代半ば以降の傾向であった。当初所得、ひとり親の構成割合の変化が貧困率を引き上げ、社会保障・税の貧困削減効果は2000年代後半以降みられた。
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