研究課題/領域番号 |
26370178
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
奥間 政作 早稲田大学, 會津八一記念博物館, その他(招聘研究員) (40711213)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 沖縄 / 美術 / 表象 / 戦後 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、戦後の沖縄の画家、彫刻家の活動について、1965年から1972年にかけて沖縄で発刊された新聞資料の調査を行った。これによって、本研究の対象期間(終戦から本土復帰まで)となる全ての新聞資料の調査を終えることが出来た。こうした調査によって戦後の沖縄の美術家達の動向を一通り把握することが出来た。戦後、いち早く体制を立て直した本土の画壇と比較して、沖縄の美術家達は米軍対象の制作のみならず、行政府による保護から始まり、新聞メディア主催の展覧会や団体の発足、さらには文化財保護など、行政やメディアと密接な繋がりを持ちつつ、幅広い活動をみせていたことが確認出来た。また、終戦直後に結成された「沖縄美術家連盟」は美術家達の大同団結的な性格を帯びた組織であったが、時を経るに従いある傾向を持つ美術家たちがそれぞれのグループに分散する動きをみせる。こうした傾向は抽象・具象などの美術家の制作に対するアプローチや世代間の対立などによって引き起こされたものであるが、一方で本土の展覧会への出品を念頭に置かれたために起きた可能性を指摘することもできよう。 戦後沖縄本南部に数多く設置された慰霊碑についても調査を進めた。一部の碑については、沖縄のみならず本土の美術家もその設置に携わっていたことが判明したが、残る多くの碑については、作者や建立の詳細について不明なものも多く残されており、今後の調査によって、明かにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新聞資料については、順調に進んでいるが、雑誌資料に関する調査は多少遅れており、特に1970年前後の状況をさらに明らかにする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
1970年前後を中心とした戦後の沖縄についての雑誌記事を収集し分析を行う。これまで調査を終えた新聞資料との比較を通じて、沖縄に向けられたまなざしを分析し、その特性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査に関するリサーチ・アシスタントの雇用確保が順調に運ばなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
資料整理のためのRAの雇用確保を行いその人件費として支出する、経年劣化のため劣化した器機の購入としても使用する予定。
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