研究最終年度にあたり、これまで収集した資料をとりまとめ、分析を行った。具体的には戦後沖縄において発刊された新聞資料および「守礼の光」「今日の琉球」などの雑誌資料において、沖縄の美術家がどのように沖縄をモチーフとした作品を生み出していたかについてを確認し、50年代・60年代・70年代(1972年まで)におけるそうした作家と作品の相貌を明らかにした。こうした沖縄の画家達の詳細については今後の報告書にてまとめる予定である。さらに本土における沖縄イメージについては、『朝日新聞』や『読売新聞』を中心に資料をとりまとめたが、基本的に沖縄が語られる際には、戦争イメージと切り離せないことが判明した。具体的には「ひめゆり」にまつわる映画作品やバレエの公開などが挙げられるが、こうした眼差しについても具体的に報告書にてまとめる予定。 また、60年代に画学生として沖縄から東京美術学校に留学した人物に直接コンタクトをとり、当時の沖縄の画壇や本土の画壇との関連について、具体的な知見を得ることがでした。本研究期間において、米軍占領下の沖縄に生きた画家達(もしくは遺族)とのコンタクトをとり、残された日記等についての調査はそう多く行えたわけではないが、今後ともこうした調査は継続して進めていく所存である。 さらに、本研究期間において、特に慰霊碑の造形について調査をすすめてきたが、こうした碑については2018年度の科研において、対象を沖縄のみならず全国的な規模で調査・研究を進めて行く所存である。
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