本研究は、17 世紀の「市民劇」と 18・19 世紀の「徒弟小説」との相関関係の分析により、Richardson等の 18 世紀小説とDickens等のヴィクトリア朝小説を全く新たな観点から捉え直すことを目的とした。Dekker、Middleton等の市民劇は、ギルド制中の徒弟を近代市民のメタファーに変容せしめた。メタファーとしての「徒弟」は Defoe等による小説ジャンル創造を経て、19 世紀へと受け継がれる。本研究は市民的ロマンス劇が、メロドラマを通じて、小説ジャンルに受け継がれていることを明らかにして、18・19 世紀イギリス小説に「徒弟小説」という新たな位置づけを与えた。
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