本研究では「ディサスター」を人災および天災、戦争、テロリズム等の災厄と規定し、主にポスト冷戦期アメリカ文学におけるディザスター表象を中心に、現代人にとって普遍的な存在状況を表すサバイバルの形を考察した。その結果、以下のような研究成果が得られた。(1)アメリカ文化に持続する戦後の感覚、(2)Tim O'Brienのヴェトナム戦争小説に見られるパーソナルな物語性の前景化、(3)サバイバルを描くモードとしてのロード・ナラティブの歴史的変遷、(4)冷戦期末期におけるラテンアメリカの視点によるアメリカ的サバイバルの脱構築、(5)アメリカ南部と日本との戦後表象の共振。
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