研究課題
本研究は、タンザニア、ブルンジ、コンゴ民主共和国、ザンビアの4国の国境線をなしているタンガニイカ湖の周辺に暮らす人々の語られる移動の歴史と、民族語の言語記述を通じて言語接触の可能性を比較対照することで、語りと言語事実による歴史を再構築することを目的とする。具体的には、タンガニイカ湖周辺で話される9言語(ベンデ・トングェ語、ハ語、ホロホロ語、フィパ語、マンブェ・ルング語、ルンディ語、ターブワ語、ベンベ語、内陸スワヒリ語)を対象とし、語彙および文法特徴について記述、比較対照するものである。2年目以降は、バントゥ諸語の形態統語的特徴を比較するためロンドン大学SOASの研究チームが作成した、142項目からなるMicrovariationパラメター(以後MV)を用いて比較調査を実施した。最終年度は、現地調査にてベンデ・トングェ語、およびフィパ語のMVデータの確認を行った。また資料が不十分であったターブワ語の調査を行うため、ザンビアにてターブワ人コミュニティーにアクセスした。ターブワ語は、主にコンゴ民主共和国内で話されているが、同国での調査が政治的・時間的にも非常に困難である。平成26-27年度中はタンザニア国内に居住するコンゴ民主共和国からの難民の方に、短時間の調査協力を依頼していたが、その後、協力者が得られず調査を中断していた。予備的調査では、ターブワ語とベンデ・トングェ語との語彙的類似が見られ、さらに形態統語分野の調査が必要と考えていたが、ザンビア国内におけるターブワ人にはターブワ語が継承されていなかった。現段階の成果としては、文法項目の一部であるPersistiveおよび未完了アスペクトに関して調査対象言語の全体像を明らかにする論文を執筆し(査読中)、またベンデ・トングェ語についてはMVの包括的データを出版したが、タンガニイカ湖周辺言語の包括的な分析結果は未発表である。
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Eva-Marie Bloom Strom, Hannah Gibson, Rozenn Guerois, Lutz Marten (eds.) Morphosyntactic Variation in Bantu (Oxford University Press)
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