新潟県北部は東北方言との境界線上に位置するが、より詳細には1)阿賀野川流域を境にそれ以北と以南とで対立するものと、2)以北内の地域がさらに北奥方言と南奥方言で対立するものとがある。本研究では、それらより、特に衰退が著しい1)ガ行入り渡り鼻音、2)狭母音音節の中舌化を考察対象に据え、各動態を約10年前に実施した全区画調査との比較を通して追究した。その結果、1)に関しては全域的に現象の痕跡が確実であること、しかしその現れ方は不安定であり、音節による差も大きいこと、2)に関しては全域的に中舌化の衰退が急速である一方、低母音化の維持やウ寄りの中舌化の動きがみとめられることなどが明らかとなった。
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