認知モードの進化という観点を導入することによって、言語類型や言語進化の議論がより明示的な形で可能となった。主客未分のIモードから、主客対峙のDモードへの認知進化を想定することによって、言語が基本的にDモードの反映であるため、諸言語がIモード認知をどの程度残しているかという観点から、言語を認知類型論的に捉えることができる。ヒトの言語を決定づける言語的要素は、Dモード認知の反映と見ることができるが、そうすると認知主体と認知客体が分離・対峙するDモードが(主客未分のIモードから)進化したことこそが、人間言語の創発を決定づける認知的要因だったと結論される。
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