研究課題/領域番号 |
26370583
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
岡田 伸夫 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (20093346)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学習英文法 / 大学英文法 / 高校英文法 / 英文法指導法 / 非英語母語話者に対する英語教育 / 応用言語学 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究成果を踏まえ、日本人高校生・大学生のための学習英文法の構築を目指し、整合性のある学習英文法の枠組みを作ることと、枠組みの各部分を教えるのにふさわしい語、句、構文、談話、語用論、言語変種等の用例を集めることに努めた。 本務校主催の「英語教員のための夏期リフレッシャーコース」に参加した現職英語教員に学習英文法に関するアンケート調査を行った。平成26年にも上記リフレッシャーコースに参加した現職英語教員に同じアンケート調査を実施したが、これらのアンケート調査で英文法指導の実態にかかわる貴重なデータを得ることができた。 The Japan News(読売新聞社発行の英字新聞)に毎月掲載される英文法エッセイの中で、高校生・大学生の役に立つ英文法の知識を提示した。また、英文法教育の目的・内容・方法に関する論文の中で、現在考えている学習英文法の枠組みと各部分の内容の一端を示した。 本務校における米国北テキサス大学Intensive English Language Institute(以下IELI)教員による英語の授業と本学外国人教員の英語の授業を観察した。いずれの授業も英文法を教えることを前面に出した授業ではなかったが、教えるべき英文法の事項は主に用例を挙げて教えた。また、平成28年2月には、北テキサス大学IELIを訪問し、外国人対象の英語の授業を観察し、IELI教員と、非英語母語話者に対する英語(英文法を含む)教育についてディスカッションを行い、さらに、IELI教員にインタビューをした。 3月に私立大学情報教育協会主催の「英語教育・コミュニケーション関係学グループ分野連携アクティブ・ラーニング対話集会」に参加し、アクティブ・ラーニングの手法を取り入れた英文法教育の可能性を探った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本務校主催の「英語教員のための夏期リフレッシャーコース」に参加した現職英語教員に対して実施したアンケート調査で、現職英語教員が、教室でどのような英文法指導をしているか、英文法教材を使っているか、使っている場合には、市販のものを使っているか、手作りのものを使っているか、英語で英文法指導をしているかなどを知ることができた。また、英文法の授業の中で英文法の(準)教科書を使って英文法を教えることが英文法の唯一の教え方と考える傾向が残っていることもわかり、有益であった。 The Japan News(読売新聞社発行の英字新聞)に毎月掲載される英文法エッセイの中で、文法が、形だけではなく、意味にもかかわるものであることを具体例で示した。 5月に発表した英文法教育の目的・内容・方法に関する論文の中で、新しい学習英文法の枠組みと各部分の内容とその指導法の例を示したが、内容と指導法をカップリングして考えることの重要性を示すことができた。 本務校における北テキサス大学IELI教員による英語の授業と本務校の外国人教員の英語の授業を観察したが、学習者が英語母語話者か非英語母語話者かによって、また、学習者の英文法知識の質と量によって、英文法の教え方を変える必要があるということを再認識することができた。 2月に北テキサス大学IELIを訪問し、IELI教員による外国人対象の英語の授業を観察し、IELI教員と非英語母語話者に対する英語・英文法教育についてディスカッションを行い、さらに、IELI教員にインタビューを行うことにより、教室外でも英語が話されている国における英語・英文法の一つの教育の仕方を知ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の3年目にあたる平成28年度には、平成26年度と27年度に行った非英語母語話者に対する英語の授業の観察や、平成28年2月に行った米国北テキサス大学IELIにおける英語の授業の観察、IELI英語教員とのディスカッション、IELI英語教員へのインタビュー、現職英語教員に対するアンケート調査の結果などを踏まえて、日本人高校生・大学生のための学習英文法の構築を目指す。 新しい学習英文法の枠組みはあらかたできたが、平成28年度には、枠組みを肉付けする各論にあたる部分を詰める作業を行う。具体的には、各文法構文を説明するための用例をさらに集め、それらを可能な範囲で高校生用と大学生用に分類する。用例を集めるに際しては、英語教員が授業時に多くを語らなくても、学習者が自ら各文法構文の本質的な意味や用法を身につけることができるようなものを集めることを目的とする。 米国以外の、英語を母語とする国に赴き、大学の英語の授業を観察することを考えている。また、英語を母語としない国に行き、そこの大学の英語の授業を観察することも考えているが、研究の進展状況により、後者の計画を実行する必要がなくなった場合には、本務校で実施されている英語母語話者による英語の授業や日本人英語教員による英語の授業を観察し、必要なデータを収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の初年度に予定していた海外調査を実施することができず、旅費の出費がなかったことが主たる理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究の最終年度に当たる平成28年度に海外調査を実施するつもりなので、旅費の出費が見込まれる。また、研究結果を冊子にまとめるつもりであるが、そのための出費も見込まれる。さらに、研究結果をまとめるにあたり、近年の英語学研究書を購入する必要があるので、そのための費用も必要になる。研究者にインタビューをする可能性もあり、その場合には人件費・謝金が発生する可能性がある。
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