本研究は、これまで独自に開発を進めてきた小学校5・6年生用デジタル英語教材を、平成26年度にはインターネット版へと増補改訂し、平成27年度には試用調査の実施、平成28年度にはLesson数の追加開発という手順を経て行われたものである。 平成28年度は、まず、デジタル英語教材18 Lessonsを新たに追加開発するため、既存の18 Lessonsとは異なるトピックのパッセージ18個及びそれぞれに質問1つと答えの選択肢4つを英語で作成した。そして、これらの英語に対応する日本語を加えた対訳原稿を作成し、英語のネイティブスピーカーと日本人の声優によって音声収録を行った。音声収録の結果はCDに保存し、システムを組み上げる際に容易に利用できるようにした。 次に、本研究を遂行するにあたって必要となる、児童向けの英語教材で使用されるべき語彙について、ディズニー英語絵本と英国の昔話を対象とした語彙調査を実施し、適切な語彙選定に向けて検討した。その結果は、関連学会で口頭発表をし、査読付きの研究論文として公表した。また、増補改訂したデジタル英語教材は、近隣の小学校で試用調査した結果をまとめ、幾つかに分けて複数の学会で口頭発表し、論文として投稿した。それらのひとつは学会誌で採択され、平成29年度に公表予定である。同時に平成28年度には、所属大学の研究紀要にも、査読付き論文として2編が掲載済である。 さらに、平成28年度は、懸案であった本教材の試用調査として、児童数が多く、学年あたりの学級数が複数ある小学校で、参加者数を増やし、処置群と対照群を設けた調査を実施した。増補改訂したデジタル英語教材を使用し、一斉授業と個別学習の両方を行い、リスニングテストとアンケートにより、事前・事後・遅延の時点で、学習効果を調査した。その結果は、関連学会で平成29年度に発表し、論文として投稿する予定である。
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