研究課題/領域番号 |
26370797
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
折田 悦郎 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (10177305)
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研究分担者 |
藤岡 健太郎 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00423575)
新谷 恭明 九州大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10154402)
井上 美香子 九州大学, 学内共同利用施設等, 助教 (30567326)
篠原 新 岐阜大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80608927)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 九州大学 / 九大紛争 / 戦後学生運動 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究目的は、九州大学(以下、九大)内外における資料調査と、それらに関する報告等を行うことにあった。前者については、九大の学生運動の一拠点となった旧教養部地区の事務文書の整理を行い、「旧教養部関係資料」(データベース)として目録化し、ホームページにアップした。後者については、「九州大学における大学アーカイヴズの歴史・現状・課題」(全史料協福岡大会)と「大学の存在意義を問う―大学と地域社会の関係から―」(大学史研究会シンポジウム)の二報告と、初年度報告書『聞き取り「九大紛争」―教官・学生の証言―』、『九州大学新聞記事索引 三』(『九州大学大学史料叢書』21輯)で、「地域」と「資料」について発表・コメント・刊行を行った。例えば上記報告書は、①関係者への聞き取り記録と、②「座談会」の資料を収めたが、①は「紛争」期に大学の要職を務めた7名の九大人による「証言」であり、今から28年前の1987年2月13日~3月25日にかけての記録である。当時、九大75年史編集室に勤務していた柴多一雄氏(当時講師。長崎大学名誉教授)と折田(当時助手。代表者)が聞き手となり、ヒアリングを行った。現在では入手し難い貴重な「生の声」となっている。②は2009年2月7日に九大大学文書館で行った「九大学生運動史」を語る「座談会」(9名出席)の記録で、折田も参加した。『九大新聞記事索引』は「紛争」期を中心とした「九大新聞」の記事索引である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画は昭和20年代から30年代における九大の学生運動、同じく40年代の九大「紛争」、その後の運動についての資料調査等を行うというものであった。このうち九大「紛争」期については、上記「研究実績の概要」に記したような進捗状況であり、相応の成果を出せたものと考えている。しかし、「地域」との関係、あるいは「地域」から九大の学生運動を見通すという視点に立った資料収集・資料整理は計画ほどには進まなかった。この点が「やや遅れている」とした理由である。ただ、第2年度以降に収集を予定していた米国国立公文書館蔵等の、特に1968年の九大構内への「米軍機墜落事件」と、それを契機として市民も巻き込んだ「板付基地撤去運動」に関わる関係資料については、米国国立公文書館で調査を行われた九大名誉教授福留久大氏からの提供・寄贈を受けることができた。この点は今後の研究計画に大きな恩恵をもたらすものとして、これからの共同研究に役立てていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の初年度の進捗状況は上記「現在までの達成度(理由)」のようなものである。したがって次年度は、より「地域」との関係に留意した、詳細な「九大学生運動関係年表」を完成させ、同年表を所載する報告書の刊行を行いたい。また、戦後九大学生運動に関係した人達に改めて集まってもらい、「地域」に焦点を当てた九大学生運動史の「座談会」を開催したい。その予算としては、当初計上していた米国国立公文書館での調査旅費等を振り替える予定である。
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