国立の個別大学における学生運動の研究は、概説的叙述がなされる各大学の『年史』以外では殆ど行われてこなかった。そこには残存史料の問題が大きく関係しているが、現在の大学をめぐる状況を考えると、大学に多大な影響を与えた学生運動の研究は必須である。幸い九州大学では従来から大学文書館で関係史料の収集を行っており、九大に関する歴史研究の蓄積も集約されている。本研究は新出史料や新たな証言を利用して行う共同研究であるが、その成果は後述する各年度の報告書(冊子体)3冊にまとめた。そこでは終戦後~60年安保、そしていわゆる紛争期の学生運動について、米軍機墜落事件など、九大独自の問題に注目して叙述を行った。
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