研究課題/領域番号 |
26370935
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
影山 穂波 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (00302993)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ジェンダー / 居住空間 / ハワイ / 権力 / 戦争花嫁 / ネットワーク |
研究実績の概要 |
戦争花嫁をめぐるメディアでの表象について検討した結果、「戦争花嫁」という記述から「国際結婚」へと変化する中で、国際結婚に対するイメージの変化がみられることが明らかとなった。対象となる人たちの変化という点もあるが、時代に応じた描かれ方に特徴がある。また日本のメディアにおける揶揄的な表現とは異なり、ハワイのメディアでは幸せな「軍人花嫁」としての生活が描かれていた。この内容に関しては、平成27年日本地理学会秋季大会のジェンダーと場所/空間グループの研究会で発表した 戦後移住の日本人の生活にかかわる資料としては、『イースト・ウェスト・ジャーナル』を中心に分析を進めた結果、ハワイで「頑張る」女性たちの動向が明らかとなった。文献収集に関しては、ハワイ大学の図書館と日本文化センターのリソースセンターを中心に調査を行った。 ネットワーク調査としては、NPOハワイシニアライフ協会を中心に進めた。ハワイシニアライフ協会主催のイベントに参加し、そこでの活動について調査を行い、協会メンバーにインタビュー調査を実施した。2007年に設立したこの協会は、個人のみならず企業や団体などをも巻き込んでハワイに関心のある人々が集まり「スポーツも人生も後半戦がおもしろい」をキーワードに活動を展開している。今後のシニアライフの一側面を提示しているといえよう。この活動におけるジェンダー関係などについては課題として残された。 ホノルル在住の戦後移住の日本人女性へのインタビューからは、日本社会とハワイ社会との相違に直面しながらも、自分たちの生活の基盤を固めている様子を調査することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
戦争花嫁に関するメディアにおける分析を日本の記事だけではなく、ハワイの記事に広げ検討した。その一部は日本地理学会の研究部会で発表した。また近年における記事の分析も進めている。 ライフヒストリー調査に関しては、資料を収集しているものの文書化する作業が遅れており、今後の課題となっている。 ネットワーク調査に関しては、新たにハワイシニアライフ協会への聞き取りを中心に発展的に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年に引き続き、ホノルル在住の戦後移住の日本人女性へのインタビューを中心に研究を進める予定である。ライフヒストリーの調査に関しては「戦争花嫁」をはじめ、国際結婚をして日本から移住してきた女性など多様な女性たちへの聞き取り調査を実施する。 文献調査、資料収集に関しては、ハワイ大学の図書館と日本文化センターのリソースセンターを中心に調査を行う。戦時中の動向に関しては、リソースセンターの方からも情報を得ることができる体制となっている。 ネットワーク調査では、ハワイシニアライフ協会の活動にさらに着目する。ハワイ在住者のみならず日本居住者をも含みこんだこの活動では、浅く広く活動を展開する中で、ハワイの再発見とネットワークを通じた居場所の形成が進められており、興味深い事例となっている。 ここまでの研究成果をいずれかの学会で報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画時よりも円安となっており、旅費を抑えることで残金が生じた。28年度の調査費用としてできれば回したいと考えている。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費の一部として利用する予定である。
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