本研究では、アーレント、ルフェーブルを中心とする公共空間に関する議論をふまえ、世界の異なる都市(パリ、アテネ、イスタンブル、アフマダーバード)における公共空間の現状について、そこを生業の場としてきたロマ/「ジプシー」、露天商の視点から明らかにした。4都市に共通してジェントリフィケーションは進行しており、パリでは移民(ロマ)が情報交換を行ってきた公共空間は消滅していた。しかしアフマダーバードでは、公共空間を流用しものの流通をうながすことで異なるコミュニティを結びつけ、新たな商空間を創出する役割を露天商が果たしており、アテネ、イスタンブルでも「ジプシー」のネットワークが公共空間の持続を支えていた。
|