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2017 年度 実績報告書

現代イタリア社会におけるローカリティに関する文化人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370973
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

宇田川 妙子  国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 教授 (90211771)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードローカリティ / グローバル / イタリア / 食 / 町おこし運動
研究実績の概要

本研究は、グローバル化が進む中、その一方で活性化しつつあるローカルな動きに着目し、改めてローカル、ローカリティとは何かを考察するものである。具体的にはイタリアの事例を取り上げ、その実情の調査を行い、論点を整理していくことによって、一般的なローカリティ論の足掛かりとした。
イタリアの調査は主に2か所で行った。1つは、約30年前から調査を継続しているローマ近郊の町であり、現状だけでなく過去の町おこし運動や、人々の意識の違いを世代差、出身の違い等に着目して調査を行った。そこからは、彼らのローカリティが多次元かつ多様・多義であること、ローカリティはいつの時代においても人々の生活の中で重要な資源であったことが明らかになった。資源としてのローカリティという視点は、とくに人やモノや情報の移動が盛んになっている今、他の地域においても重要である。
また3年度目から、食というテーマがイタリアの町おこし運動の中で鍵となっていることに着目し、ナポリ近郊で調査を始めた。最終年度は地中海料理をめぐる動きに着目し、彼らのいう地中海には、グローバル、ナショナルなものの他に、様々なレベルのローカルなもの(州、町、地方など)がまじりあっていることを明らかにした。これは、ローカルなものが、グローバル、ナショナルなものの中でこそ生産・再生産されているという構図でもあり、もう1つの調査ともつながる。また、そこからは、ローカリティはもはや物理的な距離の問題ではなく、我々の社会における空間認識の変化として再考する必要があることも浮かびあがり、グローバル時代における地理的認識についても理論的な研究を始めた。
これらの成果は、すでに一般向けに講演会や雑誌での連載などで公開しているが、今後はさらに調査結果を精査して論文等の執筆を行い、この研究過程で培ったナポリの大学研究機関との協力を得て国際共同研究等の組織化を試みていく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 地中海料理の過去・現在・未来2018

    • 著者名/発表者名
      宇田川妙子
    • 雑誌名

      vesta(味の素文化センター発行)

      巻: 110 ページ: 58-63

  • [雑誌論文] 変わらない生活用品から見たイタリア文化2018

    • 著者名/発表者名
      宇田川妙子
    • 雑誌名

      季刊民族学

      巻: 163 ページ: 85-94

  • [雑誌論文] グローバル化の中を生きる食と「地域」2018

    • 著者名/発表者名
      宇田川妙子
    • 雑誌名

      vesta(味の素文化センター発行)

      巻: 109 ページ: 58-65

  • [雑誌論文] 「共食」がつくる地域と食のつながり2017

    • 著者名/発表者名
      宇田川妙子
    • 雑誌名

      vesta(味の素文化センター発行)

      巻: 108 ページ: 60-65

  • [雑誌論文] 家族の食卓から見えてくるもの2017

    • 著者名/発表者名
      宇田川妙子
    • 雑誌名

      vesta(味の素文化センター発行)

      巻: 107 ページ: 58-61

  • [図書] 出会いと結婚2017

    • 著者名/発表者名
      平井晶子、床谷文雄、山口昌弘、中村真理子、賽漢卓娜、伊達平和、大島梨紗、宇田川妙子、渡邉暁子、小池誠、川口洋 、中島満大 、服部誠 、蓑輪明子
    • 総ページ数
      368(167-196)
    • 出版者
      日本経済評論社
    • ISBN
      978-4-8188-2471-3

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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