研究課題/領域番号 |
26380020
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
野崎 亜紀子 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50382370)
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研究分担者 |
橋本 努 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40281779)
川瀬 貴之 千葉大学, 法経学部, 准教授 (90612193)
嶋津 格 千葉大学, 法経学部, 名誉教授 (60170932)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リスク / 自由 / 規制 / 安心 / 規範 |
研究実績の概要 |
〈実施状況〉本研究の2年目にあたる本年度は、研究構成員(代表者および分担者)による3回の研究会(6月10月、1月)を、1回の研究会につき報告者2名という形式で実施した他、本研究にビジネス・エシックスの観点から協力的に関与する研究者、Prof. Christoph Leutge(ミュンヘン工科大学レッシャー企業倫理主任教授、京都薬科大学客員教授(当時))による講演「グローバル化時代の秩序の倫理」を開催(共催)し、本研究以外の参加者と意見交換を行った。
〈概要〉規範理論におけるリスク概念の位置づけ方について、新たな理論枠組みの必要性を共有しつつ、各々の基盤となる領域で検討を行った。橋本は新規の社会理論基軸構築の契機としてリバタリアン・パターナリズムの理論の可能性を精査し、嶋津は既存のリスク社会論におけるリスク概念を批判的検討を行い、川瀬はバイオエシックスに関わる問題への規律の観点からベルモント・レポートについての法哲学的視点から検討し、野崎は規範理論上の主体像のあり方という観点から人以外の動物をどのように把握すべきかを検討した。 ドイツのアカデミアの中で特にビジネス・エシックス領域の第一人者でもあるLeutge氏は、義務論的な倫理を倫理的行動の規定に置くのではない〈秩序の倫理Order Ethics(Ordnungsethik)〉を基底とすることで、経済と密接な関係を持ち、自制的でなく改良的な行動と帰結とを生みだすことができるとし、このことは企業におけるリスクマネジメントと結合する、と主張した。この考え方は、本研究におけるリスクの捉え方(リスクを制御、管理するという観点から捉えるのではない理解)にとって、新たな議論の契機となり得るものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定期的な研究会の開催に加え、国外からの協力者からの報告/議論の機会を得ることができたので、おおむね順調の進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度となるため、研究の纏めとして、リスク概念を規範概念として位置づけるに際しての、あらたな理論枠組みの可能性の提示に向け、議論を進めたい。具体的には本研究参加者が共通して所属する学会年次大会に於いて、ワークショップを開催し、議論の総括を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な会議記録媒体等事務用品の購入を予定していたが、追加的購入に至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度開催予定の学会ワークショップに際して必要となる記録媒体等の購入に充てる予定。
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