米国では、財産管理機能を有する信託は個人財産の長期的な管理の手法として広く用いられてきたが、他方で世代間の資産移転に係る相続税、贈与税を回避する道具として利用されるようになった。そこで、その抜け穴を防止するために世代間財産移転税が創設された。我が国では、むしろ世代間の財産移転を後押しする方向にあるといえるが、今後は、経済の国際化等により外国信託を利用した財産の世代間移転に係る租税回避の問題が増大しないとは限らない。このような問題が顕著になった場合には、個別否認規定といった対応策を講ずるなどして課税の公正や公平を重視しつつ信託の活用による財産の世代間移転を阻害しないように配慮する必要がある。
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