現実の取引では1つの取引に3人以上の当事者が関与することが少なくない中、既存の契約規範は二当事者間の契約を基本モデルとして構築されてきたため、三当事者以上の契約に関する基礎理論は、ほぼ存在しない。その結果、現実の取引における三当事者以上の契約につき、その効力の解釈が不明確なだけでなく、そうした契約を認定する判断枠組もなく、そうした契約が認識されることすら稀な状況にある。その中で、本研究では、申込み・承諾モデルを相対化した三当事者以上の契約締結態様を明確にするとともに、単純な交換関係にない給付義務の関連性について検討を行った。
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