財政政策と金融政策が経済成長に及ぼす効果を分析するとき、既存研究の大半は代表的企業の存在を仮定している。本研究では、企業の異質性の存在を前提にして、両政策の長期的効果を再検討した。財政政策に関しては、企業の生産性に格差があるもとでの課税政策と政府支出の成長効果を調べ、金融政策については、企業の技術開発能力に格差があるもとでの金融政策の長期的効果を分析した。その結果、いずれの場合も、各政策が経済成長に及ぼす効果は、質的にも量的にも代表的企業を仮定するこれまでの研究の結果とは異なり得ることを確認した。本研究の結果は、マクロ経済政策の効果がより現実的な仮定のもとで検討されるべきことを示唆している。
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