労働実務者へのオーラルヒストリー調査を行い、多くの労働研究者、企業の人事担当者、労働組合関係者等に利用可能なオーラルヒストリー史料群の整備・拡充を図ることを目的とする本研究の実績ついては、本年度は本研究が取り上げている3つの課題のうち2つの課題――(2)新調査の実施~オーラルヒストリー調査協力者への調査、(3)オーラルヒストリー調査協力者から提供された非公式一次史料群のアーカイブ化の推進――に取り組んだ。 具体的には、研究計画で掲げた3つのステップのうち、(【ステップ①】既存のオーラルヒストリー史料群による研究報告、新調査計画の実施【ステップ②】新調査の実施と調査協力者から提供された非公式資料群のアーカイブ化【ステップ③】新調査による史料群の研究報告と研究論文の作成)のうち、【ステップ②】と【ステップ③】を実施した。岩崎馨氏(一般財団法人・日本生産性本部労働研究センター事務局長)の協力を受け、三浦義氏(元商業労連国際局局長)にオーラルヒストリー調査を実施(1回)し、当時の国際労働運動の状況を伺った。 昨年度に調査を終えた園田恭義氏には4回のオーラルヒストリー調査に基づいた日本鋼管における大卒ホワイトカラーの人事管理の概要ならびに昇進管理の実施状況の報告書のとりまとめを行い、発表・公開した。 これらのオーラルヒストリー調査に加えて、第1に新調査の実施に向けた桝本純氏(元同盟調査局、元連合総研副所長)にオーラルヒストリー予備調査を行い、当時の労働組合の運動状況のインタビュー、第2に一般財団法人・日本生産性本部労働研究センター事務局長、岩崎馨氏から提供された産業別組合の組合リーダー複数名を対象に行ったインタビュー調査の非公開アナログ音声の記録媒体(カセットテープ)をデジタル音声データに変換した音声データのスクリプト変換作業を行った。
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