研究課題/領域番号 |
26380439
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
老川 慶喜 立教大学, 経済学部, 教授 (10168841)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域経済 / 商工業者 / 営業税 / 大型店舗 / 地域商工団体 |
研究実績の概要 |
川越商工会議所には、設立時の1900年前後から現在に至るまでの間に同商業(工)会議所が作成した文書、あるいは同会議所に送付されてきた文書がほとんど完璧に残されている。それだけではなく、川越商工会、川越商業報国会、関東商業(工)会議所連合会などの文書も多く残されている。本研究の目的は、これらの文書を利用して、川越商業会議所の設立時から今日に至るまでの活動の全貌を明らかにしようということにある。 まずは川越の地域経済の変容を明らかにするため、商工業者の国税・県税営業税の納付状況を『国税・県税営業税費用会計』などの文書を整理しながら明らかにしつつある。また、『営業税課税標準申告書綴』などの文書を用いて川越商工業者の営業実態を解明している。以上の作業による成果を共通の基盤にしながら、川越商業会議所の設立過程、設立後の組織の変遷、戦後の川越商工会議所の組織などの解明がなされつつある。 さらに川越では、商業会議所とともに商工会が存在しているという特徴がみられる。埼玉県の多くの都市では、商工会が商工会議所に「昇格」していくのであるが、川越では川越実業組合が商工会となり、商業会議所と併存しているのである。そこで、なぜそうなったのか、また商工会はどのような役割をはたしていたのか、などを検討している。 そのほか、川越の鉄道敷設問題など、川越商業会議所の請願活動を長期にわたって分析しつつある。また、戦後の大型店舗の進出と地元商業者との間に生じた諸問題の分析などが検討されつつある。さらに川越商業会議所の活動の特徴を、新潟県の長岡商業会議所の活動などと比較しながら検討を加えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、営業税関連のデータを整理することが最大の目的であったが、2人のRAの協力を得て、ほぼ順調に作業は進展している。すなわち、個々の商工業者の住所、氏名、屋号、職種、取扱品目、卸・小売売上高、家屋貸借代金、資本金、手元金額などのデータを集計し、川越商工業者の特徴が明らかにされてきた。また、4人の連携研究者と4人の研究協力者の協力を得ながら、川越商業会議の諸活動の検討も進められ、所期の目的はほぼ達成されたといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続きRAの協力を得ながら、営業税関連データの整理を継続する。連携研究者は、それぞれの課題に即しながら史料を収集し、川越商業(工)会議所の諸活動の全貌を明らかにしていく。そこで、今年度は川越以外の商業(工)会議所資料の調査も進め、より大きな視点から川越商業会議所の諸活動を検討するようにしたい。また、RA、連携研究者、研究協力者の相互の情報交換、研究上の交流をより密にするため、研究会の開催を増やしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
川越市内の川越商業会議所にゆかりのある旅館で、ヒアリングをかねた合宿研究会を予定していたが、当該旅館が改修中で実施できなかったため。なお、当該旅館で合宿研究会を行うのは、関係者へのヒアリングもあるが、本研究で必要とする史料が川越市立博物館に所蔵されているため、近くの旅館に宿泊をして集中的に史料を閲覧・撮影するためでもある。
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次年度使用額の使用計画 |
基本的には合宿研究会の費用にあてたい。また、八王子、高崎、宇都宮など関東各地の商業会議所、それに名古屋、京都、松山、長岡、その他史料の所在が確認されている地方商業会議所の調査旅費にも使用したいと考えている。
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