本年度は最終年度であったので、これまでの取りまとめをすべく研究に取り組んだ。資料の量が膨大なため、全体像の把握は困難をきわめたが、地域経済の動向を探るという共通の問題関心から本研究への参加者がそれぞれの課題の解明に取り組んだ。研究代表者・連携研究員全員での川越市立博物館での資料調査は、①6月18日、7月2・3日、11月11・12日に行った。また、営業税関係資料の整理をお願いしていたアルバイトの方には随時資料調査に従事していただいた。そのほか、大分大学経済学部の図書館で『川越商業会議所報』を調査・収集した。これで、川越商業会議が刊行した『川越商業会議所報告』『川越商業会議所月報』『川越商業会議所所報』をすべて集めることができた。これは、地方商業会議所の刊行物の収集という意味で、大きな成果であるといえる。 研究会は、第1回・研究報告者・論題:幸野保典「川越商業会議所『会員選挙有権者』および『選出会員』の職種構成と階層構成」(2016年5月14日(土)14:00~17:00 於・立教大学)、第2回・①今後の研究・活動方針について、②経営史学会関東部会大会でのパネルディスカッションの予備報告(2016年9月3日(日)15:00~17:00 於・立教大学)、第3回・経営史学会関東部会大会でのパネルディスカッションの予備報告(2017年3月24日(金) 15:30~17:30 於・立教大学)の3回実施した。 本研究会での成果は、2017年7月の経営史学会関東部会大会でのパネルディスカッションで「川越商工会議所資料と地域経済」というテーマで発表する予定である。川越商業会議所の設立事情、川越の商工業者の営業税額などの分析を通じて階層構造を解明すること、戦後の大型小売商の進出に伴う地元商店街の対応など、興味深い課題が解明されつつある。今後も研究を継続し、なるべく早い段階に論文集を刊行したい。
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