本研究の目的は、研究者・技術者の流動性と社会構造、文化構造の関係について検討することにある。本研究ではフランスの研究者・技術者の転職を規定する要素は社会構造や雇用制度のみならず、彼らの中に共有されている規範、制度的要素などの文化構造との相互作用が重要な影響を及ぼすと考え、彼らのキャリアについて多様な要素から分析を行った。その結果、彼らは非常に選抜的な試験をくぐり抜けたエリートであり、日本のエンジニアと大きく異なる社会的地位にいた。そして、彼らは大手企業や公的機関に勤めることが多く、長期勤続、転職未経験、内部労働市場での昇進する者が少なくないことがわかった。
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