研究課題/領域番号 |
26380525
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
長山 宗広 駒澤大学, 経済学部, 教授 (80453562)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | グローバル都市 / オープン・イノベーション / リバース・イノベーション / スピンオフ・ベンチャー / BGC / 国際的企業家 |
研究実績の概要 |
今年度は、研究計画に掲げたとおり、大企業のオープン・イノベーションの実態とスピンオフ・ベンチャーとの連携状況について調査を行った。その調査結果にもとづき、「東京圏におけるグローバル企業発のスピンオフ・ベンチャー叢生-大手電機メーカーの事例を中心に」というテーマにて、日本中小企業学会全国大会で報告し、その上で、同テーマでの論文を執筆した(査読受理)。 この論文では、長山(2012)での仮説を実証することに加えて、大手電機メーカーを母体組織とするスピンオフ企業家が国際的企業家精神を発揮し、BGC(Born Global Companies)のようにスタートアップ期から早期国際展開を実施する事例を新たな事実発見として示した。 以上に加え、今年度も引き続き、地域経済学・「グローバル都市」研究の観点から、上海に立地する外資企業(多国籍企業)のリバース・イノベーションに関する調査を行った。その調査結果にもとづき、日本比較経営学会において「中国市場における日系多国籍企業のイノベーション」というテーマにて報告した。 今後、国際経営論(多国籍企業論)とアントレプレナーシップ論(ベンチャー企業論)を接合するBGC研究について深めていくが、その際には、グローバル都市研究(地域経済学)の観点から実際の事例を分析していくことに意義がある、と見出せた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に掲げた「オープン・イノベーションによる大企業とスタートアップ企業の連携関係」については、大手電機メーカーを事例に実態調査を進め、その調査結果にもとづく学会発表および論文執筆(査読受理)を実施できた。 これまで筆者の主な研究対象であったスピンオフ・ベンチャーに加えて、今年度は、BGC(Born Global Companies)の事例を新たに見出せた。このことにより、研究計画に掲げた「製造業の日本的創業モデル」の新たな展開へとつなげることが出来た。 その一方で、研究計画に掲げた「メイカーズ革命とデジタル起業家」に関する調査は十分に進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、日本の大企業(グローバル企業)からスピンオフしたベンチャーを調査し、その中からBGC(Born Global Companies)の事例を見出していく。この「ボーン・グローバル・スピンオフ・ベンチャー」という新たなカテゴリーを見出すことを通じて、当初研究計画に掲げた「製造業の日本的創業モデル」の一端を示したい。 「メイカーズ革命とデジタル起業家」に関する調査は、当初研究計画を変更し、時間の許す範囲で実施することとしたい。もし、実施するならば、日本のメイカーズのみならず、中国のメイカーズを併せて調査したい。現在、中国では、「大衆による起業と万衆によるイノベーション、縮訳して双創」を進めようとしており、たとえば、深センでは「メイカーズ大国」を謳っている。今後の研究につなげる意味でも、日本と中国のメイカーズ調査比較を少しでも進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度は、2014年度に実施した中国調査の取りまとめと日本国内(東京圏)での調査を主としたため、調査旅費の支出が少なく済み、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、その分を海外調査旅費やアンケート調査費用(主に人件費)に充当する予定。
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