研究課題/領域番号 |
26380543
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
具 承桓 京都産業大学, 経営学部, 教授 (20367949)
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研究分担者 |
銭 佑錫 中京大学, 経営学部, 教授 (00329658)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 技術経営 / 東アジア / 国際サプライヤーシステム / 競争と分業 / キャッチアップ / 韓国自動車産業 / 中国自動車産業 / 生産ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,東アジアにおける競争と分業システムの変化と競争のダイナミズムを明らかにすることである。具体的には,(1)東アジアにおける市場環境の変化と自動車メーカーの調達戦略の変化について,(2)中国及び韓国サプライヤーの中国市場戦略と能力構築プロセスについて,(3)グローバル生産・開発ネットワークについて考察し,その現状・実態,メカニズム解明を究明することである。 平成27年度の研究活動及び実績としては,成果のまとめ・発信と定量及び定性データの収集活動を行った。まず,研究成果物としては,業績一覧にも示すように,韓国自動車産業,とりわけ現代自動車の成長とキャッチアップを,一企業ではなく企業グループの観点からアプローチし,モジュール生産戦略とサプライヤーシステム管理に関する論文1編(研究イノベーション学会誌『研究 技術 計画』に掲載した。また,国際自動車産業研究者と執筆した『Global Automotive Industry』(Wiley)の中で,第9章韓国自動車産業の成長とその要因について執筆し,出版された。更に,自動車サプライヤー研究会と日韓国交正常化50周年記念シンポジウムで発表した。次に,データの収集活動としては,7月末韓国自動車サプライヤー6社の調査を共同で行い,インタビュー調査に関する研究会を2回実施した。8月には中国成都地域調査を行い,政策サイドと企業インタビュー調査を実施した。また,アセアン地域の経済統合による国境を越えたサプライヤーの活動とメカニズムを明確にするため,北米のメキシコ自動車産業集積地の日系サプライヤーの活動,取引先,ロジスティック,本社との関係などについて調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学務や教育時間などの時間的な制約の中で,纏まったフィールド調査と分析時間を確保することが難しい状況であり,予算上の問題であってその進捗は計画よりもやや遅いものの,概ね順調であると判断する。しかしながら,当初予定していた,日本のサプライヤーに対する質問表調査は遅れている。その理由は,世界経済の変動などが激しく,調査時期としてやや安定した時期を狙っていたこと,企業の状況変化(メキシコの地域中核拠点化の動きなど)により質問項目の変更が生じたため,質問票調査を見送りした。それで,H27年度はフィール調査を優先して行った。 全体的に進捗状況をまとめると,①韓国部品サプライヤー調査や分析は追加調査(1回程度)と2次資料の収集・分析は概ね順調,②中国サプライヤーの能力構築と成長要因に関しては,政策の役割と内陸地域に関する調査を行い,新しい動きやEV(電気自動車)への取り組みに関する調査はできたものの,既存の臨海工業地域に対する追加調査が必要,③日本企業に関するインタビュー調査は2社は行われたものの,質問票調査は上記の理由により遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度研究計画としては,まず,為替変動などの様々な変則的な要因がある程度安定しつつあるので,計画書に書いてあるように,サプライヤーシステム,海外ビジネスと報告との調整メカニズムを中心とした質問表調査を行い,基礎分析まで完了する予定である。次に,定性データと既存の定量データに基づく成果発表や論文執筆を注力する。その内容としては(1)中国自動車産業の新しい動き(EV)を踏まえて,マクロ政策の変貌と中国民族系企業の能力構築プロセスとそのパターンについて,(2)定性データを中心とした,韓国サプライヤーの競争力構築プロセスと要因分析について事例分析を行う,(3)メキシコ調査の結果などを踏まえて東アジアにおける開発・調達・生産の調整メカニズムと部品サプライヤーの海外展開戦略,分業構造のキー要素をまとめる。そのため,韓国と中国,場合によっては東南アジア地域の現地調査を行う予定である。また,メンバー間の研究会を1~2回開催しながら,その成果を学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の旅費として当てていたが,調査期間をカバーできない金額だったため。
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次年度使用額の使用計画 |
海外調査費用として充当する。
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