研究課題/領域番号 |
26380933
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
財部 盛久 琉球大学, 法文学部, 教授 (50175436)
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研究分担者 |
野瀬 出 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (60337623)
柿沼 美紀 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (00328882)
五十嵐 一枝 白百合女子大学, 文学部, 教授 (00338568)
上村 佳世子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70213395)
紺野 道子 東京都市大学, 人間科学部, 准教授 (30307110)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / 注視行動 / 視線 / アイトラッカー |
研究実績の概要 |
今年度は予備実験として収集したデータを分析すると同時に,自閉症児の視線の特徴を捉えるための,刺激材料についての検討も同時に行った.その成果は研究分担者,および研究協力者と発達心理学会にて報告した. 日本と中国の高機能自閉症児の視線解析:社会的場面を含む線画刺激に対する高機能自閉症児(ASD) の注視傾向について,日本と中国のデータを比較し,注視傾向について環境が及ぼす影響について検討を行った.定型発達児(TD)は高機能自閉症児よりも画面を注視する傾向があった.ASDは顔や登場人物を見ない傾向があったが,その傾向は中国のASDで顕著であった.これはASDの注視傾向差が養育環境などの文化差の影響を受けていることを示唆している.さらに,ASDの視線の動き(軌線)は断続的で,刺激からの逸脱が多かった. 定型発達児と高機能自閉症児の視線解析:平均データ収集率を比べると,TDはASDよりも画面を注視する傾向があった.ASD児は刺激をまんべんなく見る一方で,顔を見ない傾向があり,年長ASDは物の動きに注目する傾向があった.ASDは状況と人の内面を読み取る際に顔や社会的葛藤場面からの視覚情報収集の効率が悪いことが示唆された. 刺激材料の検討:今後は,刺激材料にストーリーとして連続性のある刺激を用いてASDがどこを見てみているか検討する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画では,今年度ASD児と養育者のデータの収集を開始する予定であったが,それができていないために,やや遅れていると判断した.ただ,平成27年度までにデータ収集を終える計画であるため,研究計画の実施については大きな問題となってはいない.また,共同注視行動の形成支援の協力者の選定を今年度のデータ分析を行うなかで行うことができ,平成27年度に実施予定の介入実践に関する研究計画はほぼ達成できたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
ASD児と養育者に提示する刺激について吟味し,データを収集すると同時に定型発達児のデータ収集を行う.定型発達児のデータ収集のために生活年齢が3歳から5歳の子どもの集団として保育園および幼稚園の依頼を行う. 共同注視行動形成の協力者を募り,介入による視線行動の変化について分析する.介入期間を考え,平成27年前半に介入を開始する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由のひとつに,当初よりも物品購入額が低く抑えられたからである.これは次年度必要とする物品があるために,それを見越して物品の購入を押さえたからである.もうひとつの理由が旅費の支出が押さえられたからである.成果発表のための旅費が少額の支出で済んだことから当初予定した額よりも少なくて済んだ.このようなことから次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はデータ収集と処理のために物品購入が予定されており,また,成果発表および打合せのための旅費で支出を計画している.
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