研究課題
本研究は、社会のグローバル化と地域変動のなかで、個別の自治体を超えて生じる生活・労働問題の広がりを意識し、九州地区に地域変動の象徴をみながら、地域社会教育計画論の「基盤」の再考にかかわる検討を行ってきた。最終年度においてはモデル地区の1つである離島部・長崎県小値賀町への再調査と、日本社会教育学会自由研究発表への議論、そして九州大学大学院人間環境学研究院社会教育研究室発行『社会教育研究紀要・特集九州における地域変動と社会教育』(2016.11)への執筆を通して、模索的に行ってきた3年間の研究を整理し、次の研究への見通しを得ることができた。激しい自治体合併を経た九州のその後をめぐって、地域調査およびデータ収集分析を行う中で見えてきたのは、合併自治体における自治体内格差の広がり(周辺部の疲弊化)と、九州における都市部集中の広がりおよび個別自治体の疲弊化の進行であった。こうしたなかで我々が仮説的に課題化してきたのが「重層的な自治基盤の形成」である。これにより、モデル地区調査においても当初は従来型の個別自治体調査をこえる難しさがあったが、本年度に至り、九州内他自治体との関係、とりわけ拠点都市・福岡市との関係に焦点化した分析とその意味を提起することができた。人・もの・財の流れが、比較的九州圏域で完結しつつ福岡市への集中度を高めていること、こうした近年の変容を既存データ分析を通して示すこともできた。さらに、地域における権利の縮小を前に、自治基盤の捉え直しに連動し、自治を支えるメンバーシップ論の再検討という今後への課題を抽出し、九州圏域のような広域的に社会の再生産をはかる方向性を示したことも成果であると考えている。これらより本研究が掲げる「方法としての九州」という観点の有効性や、広域圏レベルでのメンバーシップと教育の関係性等、今後の課題を明らかにすることができたといえよう。
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月刊社会教育
巻: 第61巻第1号 ページ: 11-18頁
九州大学社会教育研究室『社会教育研究紀要』
巻: 第2号 ページ: 43-51頁
巻: 第2号 ページ: 52-62頁
巻: 第2号 ページ: 63-71頁
巻: 第2号 ページ: 72-78頁
巻: 第2号 ページ: 79-86頁
巻: 第2号 ページ: 87-89頁
巻: 第60巻第10号 ページ: 3ー11頁
青少年育成支援読本
巻: 第1巻 ページ: 127-132頁
巻: 第2号 ページ: 1-3頁
巻: 第2号 ページ: 4-5頁
巻: 第2号 ページ: 9-16頁
巻: 第2号 ページ: 17-33頁
巻: 第2号 ページ: 34-37頁
巻: 第2号 ページ: 38ー42頁