研究課題/領域番号 |
26381132
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中矢 礼美 広島大学, 国際センター, 准教授 (70335694)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アイデンティティ / 国民形成 / 地域開発 / コンピテンシー |
研究実績の概要 |
インドネシアにおけるグローカル・コンピテンシーがどのように育成されつつあるのかについて、ジャカルタ、マルク州(アンボン)、西スマトラ州(パダンおよびムンタウェイ)において世代別アンケート調査、教員へのインタビュー及び授業観察を行った。 第一に、グローカルコンピテンシーの中でも最も基盤として重要であるアイデンティティを計測するためのアンケート調査票の改良を行ったことは、今後3年間の調査を効果的に実施していく上で非常に意義あるものであった。この調査票では、単にアイデンティティの諸相を計測するだけでなく、それぞれのアイデンティティに影響を与えた要因について自己分析・評価をしてもらうことで教育の影響を推測することができた。また、将来の職業の夢や就職場所、その選択理由から地域開発への人材育成について理解できた。保護者に対しては教育期待も問うことで幅広い教育の影響を捉えられるものとすることができた。 第二に、研究目的を達成するためには地域間比較が必須であり、今年度は有効な地域を選択して調査を行えた点で意義があった。ジャカルタでは大都市における地域開発人材育成がどの程度有効であるのか、アンボンでは周縁における国家と地域とグローバルの影響がどのような様相を見せているのか、西スマトラ州パダンではマジョリティであるジャワ民族への対抗民族としての地域アイデンティティの強さはどのようであるのか、ムンタウェイは未開発地域におけるマイノリティの地域アイデンティティが注目された。これらの特徴的な地域を選定した上で、世代別アイデンティティ(国家、地域、民族およびグローバル化受容態度)を明らかにすることは、これまでの国家統一カリキュラムと地域で開発された地域科の影響を理解するうえで非常に有意義であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的であるグローカル・コンピテンシー(グローバル時代に、国民として、また地域社会の開発の担い手として生き抜く力)の中でも、最重要課題であると考えるアイデンティティのバランス(国家、地域、民族およびグローバル化受容)に焦点を当てて意識調査を行うことができた。それも当初の計画より多くの地域で実践できたことは評価できる。ただし、社会科、公民科あるいは人格形成教育科の授業計画や教材などの事例収集については十分に行うことができなかった。 なぜなら、昨年度は実施されるはずの新カリキュラムへの移行が教育大臣の交代によって急に方向転換が図られ、多くの学校が旧カリキュラムへ逆戻りすることとなり、混乱があったからである。
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今後の研究の推進方策 |
小学校から高等教育段階まで、国家教育スタンダードにおけるコンピテンシーと各学校あるいは州レベルで開発したカリキュラムについて、グローカル・コンピテンシーの視点から調査研究を行う。 今年度の研究計画において調査対象地域とした西カリマンタン州において計画通りの研究を行う。 昨年度は不十分であった、アイデンティティ以外の部分について再度現地調査を行う。特に学校で行われるグローバル人材育成関連教育活動について調査を行うこととする。
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