研究課題/領域番号 |
26381218
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
飯田 慎司 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20184351)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 問題解決 / 教材開発 / what if not? / 問題設定 / 特設型問題解決 |
研究実績の概要 |
算数教育における日本の問題解決型授業を改善する方策の1つとして、シツエーションの探求としての特設型の問題解決指導を拡充させるための教材開発研究を行うという研究目的に照らして、平成26年度には、算数教科書の特設ページの問題や全国一斉学力テストのB問題からの逆設定によってシツエーションを同定し、それにwhat if not?を適用しながら、特設型問題解決教材を開発した。このような開発プロセスについて理論的・事例的に研究して、九州数学教育学会において発表した。教材開発の方法としては、原問題から逆設定した後に、what if not?を適用するかどうか、そして適用する際にどのような属性に着目するか、さらに新しいシツエーションからどのような問題を再設定するかといった多様性が見いだされたところである。 事例的研究は、附属小学校教諭や公立小学校教諭および大学院生と協議しながら進めており、学会発表した三角方陣に関する教材以外にも10個程度の特設型問題解決教材の開発が進められた。その中のいくつかは、附属小学校や公立小学校において授業実践を行い、そのデータ等を収集した。開発が進められている教材については、平成27年度にフォーマットを作成してまとめていく予定であり、さらに教材数を増やして、平成28年度には、小学校算数科の特設型問題解決教材集を作成することとしている。 海外の算数教育において、特設型の問題解決がどのように捉えられ、位置付けられているかについての情報を得るため、オランダのフロイデンタール研究所において情報収集を行った。その結果、オランダにも同様の取り組みがあるものの、特設型問題解決教材を教科書に記述する試みについては、日本の算数教科書が先進的であるという評価を得たところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
算数科の特設型問題解決教材の開発が理論的・事例的に順調に進んでいる。 教材開発プロセスの理論的研究の結果、原問題を算数教科書の特設ページや全国一斉テストB問題の中から見出すとともに、逆設定、what if not?、そして再設定という問題設定プロセスを教材開発に援用することで、本研究における特設型問題解決教材の開発を教育現場に発信できるという可能性が高まってきている。 附属小学校教諭や公立小学校教諭等と共同で研究を行っていることから、教材数も増えてきており、教育現場に発信するための教材集の作成に向けての視野が開けてきている。授業実践を行っているものもあり、児童の反応等を教材集の中に含めていくことも可能となってきている。
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今後の研究の推進方策 |
算数科の特設型問題解決教材の開発にあたって、原問題を算数教科書の特設ページや全国一斉テストB問題等から見出してきているが、海外の算数教育で取り上げられている問題や研究雑誌等からも有望な原問題が発掘できる可能性があるので、附属小学校教諭や公立小学校教諭等と共同で研究しながら、多様な教材開発研究を展開していくこととする。 理論研究においては、再設定した問題と原問題との類似性や差異性に関する分析を組み込んでいくことを検討する。 教材集を作成していくためには、どのようなフォーマットが適切なのかの検討を行って、教育現場への発信にふさわしいフォーマットに基づく教材集に仕上げていく。
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