研究実績の概要 |
1.言語運用能力について 本研究では、文化庁が示した言語運用能力に関する定義「音声言語・文字言語を問わず,相手や目的・場面に応じて自らの意思を言語によって適切に表現・伝達し,かつ言語を通して相手の意思を的確に理解し得る能力のことであり、端的には、聞くこと,話すこと,読むこと,書くことのすべてにわたって総合的に運用する能力」を踏まえて進めることとした。ただし、言語運用能力に関する先行研究が殆どないため、その位置付けを一層明確にするため、国語科教育の領域以外に広げて調査を行った。特に一般社会において必要とされる言語運用能力について明らかにするため、一般書を中心に調査したところ、実用的な内容を多く含んでいた。言語運用能力は今後の国語科の方向性として、汎用的能力(ジェネリック・スキル)として具体化されていくものと考えられる。 2.国内の新聞教育に関する研究 NIEはこれまで多くの実践が積み重ねられてきたが、評価に関する研究は殆ど行われていない。実践したいという小中高の教員は少なくないが、どのように評価していくかは新たな参入者の懸念の一つになっている。指導と評価の一体化がいわれている。中高の国語科における新聞活用の際の評価について評価規準を新たに作成し、新聞活用における評価の方向性についての考察を行った。 3.海外の新聞教育の実情に関する現地調査 アメリカ合衆国のワシントン・ポスト紙とボストン・グローバル者をそれぞれ視察し、NIE担当者からアメリカのNIEの実情と教育内容について説明を受けた。アメリカのNIEは言語に焦点を当て、批判的思考力を養う性格が強いことが判明した。ボストン市では、市内の公立高校と公立中学校におけるNIEの授業を視察した。
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