研究課題/領域番号 |
26381230
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研究機関 | 日本女子体育大学 |
研究代表者 |
稲井 達也 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (30637327)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 21世紀型スキル / 21世紀型能力 / 汎用的能力 / 探究的な学習 / ICT / 学校図書館メディアとしての新聞 / 資質・能力 |
研究実績の概要 |
研究1年次は海外の新聞活用の状況を調査するため、アメリカ合衆国ワシントンとボストンの新聞社や学校を訪問したが、研究2年次に当たる今年度は、「話す・聞く・書く・読む」に関わる言語運用能力に焦点を当てた研究を行った。言語運用能力を「汎用的能力」として位置付けた上で、社会生活に生きて働く言語力として捉えることとした。 日本NIE学会奈良大会(奈良教育大学)、及び東京都NIE推進協議会高校部会(日本新聞協会)では、「米国ボストン市の中学校・高等学校におけるNIE」 と題して、アメリカでの調査研究の成果を公表した。また、日本NIE学会主催のNIEセミナーにおいても、汎用的能力に絞って研究成果を公表した。調査としては、新たに言語に関わる汎用的能力の育成状況について調査するため、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス市ミネトンカ学区の公立小中高校、私立幼小中高一貫校を訪問した。21世紀型スキルの習得をゴールとしたカリキュラムが編成され、教員はこのゴールを共有した上で授業に取り組んでいた。ICTの積極的な活用が見られた。 さらに、21世紀型スキルと関連した言語に関わる汎用的能力について、ICT活用の観点、学校図書館活用の観点に焦点を当てて、オーストラリア・南オーストラリア州アデレードにある州教育委員会国際局、公立中等学校3校を訪問した。ICTが積極的に活用され、ミネアポリスの学校と同様に、21世紀型スキルの習得が目指されていた。 また、汎用的能力育成の観点から新聞活用を通して言語運用能力を育成するには、紙媒体の新聞だけを用いるのではなく、むしろデジタル・テクストの読解力を高める必要がある。これはICT活用と欠かせないものであり、デジタル新聞を読むことのできる教育環境の整備が必要であり、この方向性を志向しないと、新聞活用の将来性がないと言っても過言ではない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アメリカやオーストラリアの教育状況の最新動向の調査による研究成果によって、新聞活用は21世紀型スキルを踏まえた汎用的能力の育成に資するものであることが分かった。言語運用能力は汎用的能力に位置付けることができることから、新聞活用の今日的意義が明らかになったことによるためである。 また、学校教育のどの場面で新聞活用の導入を図るかという問題があるが、新聞は学校図書館メディアのひとつであることから、教科等の授業、言語運用能力に即していえば、国語科の授業で学校図書館メディアを活用する際、探究的な学習の一環として新聞を学習材化して用いることが最も円滑な方法であることも見えてきた。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度に当たる今年度は、2年間の研究成果を踏まえ、21世紀型スキルを視野に入れ、汎用的能力の観点から新聞活用における言語運用能力を精査し、新聞活用の新たな意義や可能性について提案する。その際、アクティブ・ラーニングの理念や方法論を採用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたヨーロッパでの調査・研究のための視察が、国内情勢の変化により、新聞社と連絡がつかず、実施できなかったため。渡航を予定していたのは、フランス、イギリスである。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、引き続き、渡航先を新聞活用の先進地であるノルウェー及びフィンランドに変更し、新聞社、新聞協会等の機関と連絡を取りながら、調査・研究の実施に向けて鋭意努力する。
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