本研究の主目的は、「小中学校兼務教員」の配置が、中学1年生の学校不適応解消とともに、不登校の出現を抑制できているかどうかを、X県Y市内の全小学6年生と全中学1年生の児童生徒を対象とした質問紙調査及び兼務教員へのヒアリング、また、市教育委員会が集約している不登校の状況調査結果等で確認をすることである。 平成29年度もX県Y市内で前年度の小学6年時に質問紙調査を行った全中学1年生を対象とした「学校生活に関する質問紙調査」を、予定通りに年2回実施した。 最終年度である、平成29年度の中学1年生の質問紙調査からは、学校生活への不安感が前年度の中学1年生と比べて低い結果が見られている。ちなみに、4年間の研究期間全体を通じて、年々、中学1年次の生徒の肯定的回答が増加していることがわかった。このことについては、聞き取り調査等で、兼務教員の意識や行動も年々、肯定的になってなっていることと無関係ではない。ただし、市内の中学校区ごとに比較をすると、不登校の新規出現者を押さえている地域とそうではない地域との差が顕著に見られており、それは兼務教員としてのキャリアや意識・行動とも比例をしている傾向が見られた。 今後の課題としては、不登校のみならず、長期欠席として集計することと、兼務教員を取り巻く周囲の環境面(管理職や同僚の意識等や小中連携の度合い)等にも目を向けることが必要と考える。
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