研究課題
当科で過去27年間に人工内耳(CI)手術を施行した928例のうち他院手術例を含めた343例の小児例を対象に検討した。1) NHS referの後に受診した0歳児261名のうち、中等度以上難聴61名(23.4%)であり、最終的に CI装用に至ったのは19名(7.6%)であった。2) 就学時の単語や文の聴取能は平均80%以上で、手術年齢が早いほど良好であるが、文の聴取において強く影響し、偶発的学習は不十分であり、機能語や抽象語の理解を要するためと思われる。言語性IQは78.0であり、語彙力ともに単語と文の聴取能との間に相関が見られ、文の聴取能が語彙力に関与することが分かった。コミュニケーションモードでは聴覚口話法がトータル法より、就学先としては通常学校がろう学校より、聴取能でも言語性IQでも有意に良かった。3) 就学時にオープンセットでの聴取が検査不能例が約10%存在し、術前の補聴器閾値、術前の認知発達指数、周産期合併症、内耳形態異常の有無が関与していた。4) 学童における構音(発声)の獲得では、手術年齢が早く、聴取能がよいほど早く、ろう学校とトータル法においては、不良例が多い傾向があった。5) 高校卒業後の進学では、4大が約4割で、全体では56.6%が進学していたが、一般(79.9%)より有意に少なかった。6) 高校卒業後の就労では、全体では事務職(40.5%)、生産職(18.9%)が多く、一般の就労と比較し、事務職が有意に多く、販売職が有意に少なかった。大学等卒業生に専門・技術職が多く、高校卒業生に事務職が多かった。
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小児耳鼻咽喉科
巻: 40 ページ: 1-11