研究課題
基盤研究(C)
三分岐離散曲面に関する幾何学の研究を行った. 特に,3次元ユークリッド空間内の三分岐離散曲面に対して,その頂点ごとの曲率を定義した。その中では、カーボン・ナノチューブ、フラーレン、マッカイ結晶などを例としてあげ、 材料科学及び有機化学で「負曲率炭素構造」と呼ばれているマッカイ結晶が、実際に負曲率を持つことを示した。さらに,三分岐離散曲面に対して,複数の種類の細分を定義し, 極小エネルギーによる細分列の場合には,標準実現三分岐離散曲面が連続曲面にハウスドルフ収束することを証明した
離散幾何解析
従来の離散曲面論は,連続曲面の離散化として離散曲面を定義していた. この研究では,分子構造・結晶構造をモデルとした,本質的に離散な曲面を対象とし,その幾何学を展開したことに重要な意義がある. しかも,単純に曲率を定義するだけではなく,離散曲面の細分を定義することにより,収束理論への道を開いた. 一般に,分子構造・決s高構造のミクロな解析では離散的なオブジェクトとしてそれらを扱うが,収束理論を通じて,マクロな連続的なオブジェクトを扱うことができる可能性を示した.