体積制約条件を含む放物型変分不等式に対する可解性とその応用について考察した。劣微分作用素を含む作用素包含式をバナッハ空間に拡張した抽象論を構成したことで、抽象発展方程式として同じ構造を持つ力学的境界条件下もしくは動的境界条件と呼ばれる条件下でのアレン-カーン方程式や、それに類するカーン-ヒリアード方程式の体積制約問題に結果を応用することができた。さらに、内部と境界上の体積の和が保存するという「総体積保存則」が方程式の構造上、重要であることが明らかになり、制約条件無しに方程式系そのものが持つ自然な構造として「総体積保存則」を満たすカーン-ヒリアード方程式系の導出とその可解性の研究に至った。
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