本研究課題は電荷が導入された一次元量子スピン系であるNd2-xCaxBaNiO5の良質な単結晶を育成し、一次元ハルデン系におけるスピン励起状態および電荷(ホール)のスピン-ホールダイナミクスを観測することを目的とした。本研究では三種類の異なるホール濃度の試料について単結晶育成をおこない、中性子非弾性散乱実験を実施した。ハルデン鎖の明瞭な励起状態の全体像を観測することに成功。またホールドープ状態での運動状態も明確に観測し、ハルデンギャップ内に新たな動的構造が出現すること、その構造の電荷濃度依存性を測定し、これは高温超伝導(二次元)で実現するホールのダイナミクスと酷似していることが明らかになった。
|