上位10%の落雷エネルギーを持つ落雷を「強い落雷」,全落雷数に占める強い落雷の割合をS比と定義し,全球・領域規模の落雷気候学の研究を行った.全球的に見ると,落雷頻度が低(高)い領域ではS比の値が高(低)くなる特徴があった.S比が40%以上の領域は50-60°N/Sの海洋上に分布し,冬期の夜間~早朝に落雷が増加した.また,シベリアでもS比は30-40%と高く,夏期の日中に落雷が増加した. 日本周辺でも落雷頻度が低い領域ではS比の値が高い.S比の高い関東地方の春期は,強い落雷の多くは正極雷であった.一般に,正極雷は高い落雷エネルギーを持つため,正極雷の割合がS比の大きさに関係していると考えられた.
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