研究実績の概要 |
前年度までに調製した固相担持触媒を用いて、まず、種々のピリミジンヌクレオシドの合成を行った。糖供与体として1-O-アセチル-2,3,5-トリ-O-ベンゾイル-β-D-リボフラノースを用い、5位にハロゲンまたはトリフルオロメチル基を有するシリル化されたピリミジンを反応させたところ、目的とするヌクレオシドが高い収率で得られた。5位にメチル基が導入されたチミン塩基を用いると、反応性は著しく低下した。温度を140 ℃まで上げたところ、反応は完了した。この条件を用いると、N6-ベンゾイルアデニンが導入されたヌクレオシドも合成することができた。糖供与体として1,2,3,5-テトラ-O-アセチル-β-D-リボフラノースを用いた反応も実施したところ、5位にハロゲン、トリフルオロメチル基またはニトロ基を持つピリミジンヌクレオシドが得られた。ペンタ-O-アセチル-β-D-グルコピラノースおよびペンタ-O-アセチル-β-D-ガラクトピラノースを糖供与体に用いると反応性は低下するが、触媒量を増やすことにより問題なく反応が進行することがわかった。 固相担持触媒が再利用可能かどうかを調査するために、1,2,3-トリ-O-アセチル-5-デオキシ-β-D-リボフラノースとシリル化された5-トリフルオロメチルウラシルとの反応を取り上げた。5 mol%の触媒を用いてアセトニトリル中、加熱還流すると、わずか10 分で目的化合物が高収率で得られた。回収して得られたポリマーを再度、触媒として用いたところ、活性が全くなかった。そこで、ポリマーを酸で処理したところ、触媒活性が元に戻り、ほぼ定量的に反応が進行することが明らかとなった。
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