ハロゲン化物イオンのCTTSバンドや水の第一電子遷移吸収を利用し,イオンの化学形態を直接観測する新しい遠紫外減衰全反射(ATR)分光法を提案した.塩化物イオンでは175nm付近にCTTSバンドが観測され,濃度に対して極めて線形な変化を示すことから,分光学的な塩分定量法を提案した.既存法に比べて指示薬不要で,リアルタイム定量が可能である.塩化銀の生成過程や,味噌,醤油などの食品中の塩分定量,塩水溶液の凍結濃縮過程などに応用した.また,装置由来の歪みを補正するKramers-Kronig変換法を提案し, ATR測定から正確な遠紫外吸収スペクトルが得られるようになった.
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