本研究ではDNA複製反応の経時的な観察を行い、鋳型核酸の安定性および周囲の分子環境によって複製速度が制御されるメカニズムを定量的に解明することである。鋳型DNAの熱力学的安定性と複製反応の相関性を定量的に解析することを中心に研究を推進した結果、DNA複製反応速度は鋳型核酸のもつ熱力学的安定性だけでなく、鋳型DNAが形成する二次構造のトポロジーに大きく依存したことを見出した。さらに分子クラウディング環境に応じてトポロジーが変化する事でも複製速度が変化した。以上の成果は、生体反応が核酸構造によって制御される新たなメカニズムを示唆するものである。
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