金属表面の疲労強度を大幅向上させる方法として,CNC旋盤を用いた表面強ひずみ加工である切削摩擦加工を提案した.実際の機械部品を強化するために,SCM435調質材のV溝切欠試験片(ρ=3.0)を用いて,疲労破壊の起点となる応力集中部を強化する研究を行った結果,切欠き底の硬さは素材の2.7倍に向上し,2000MPaを超える圧縮残留応力を形成することができた.回転曲げ疲労限度は68%向上した.摩擦加工による強化は最表面から深さ方向に急激に弱まる傾向にあるが,切欠き材の応力分布も同様に最表面より急激に低下する.このことから,摩擦加工による強化の効果が平滑材よりも切欠き材に効率的であることが確認された.
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