研究実績の概要 |
本研究は、英国のナショナル・トラストによって取り組まれている庭園の保存・復元活動の手法を明らかにすることを目的としている。平成26年度には、トラスト設立以降の庭園保存・復元活動の変遷を文献調査により明らかにするとともに、ロンドン近郊の5庭園の現地調査と資料収集を行った。平成27年度にはストウ庭園とクレアモント庭園においてヒアリング及び現在の庭園保存・復元活動に関する資料収集を行うとともに、新たにトラストの庭園保存活動における先駆的な事例である5庭園の現地調査と資料収集を行った。平成28年度は、他業務との関係で予定通り研究を進捗させることができなかったため、研究期間を1年延長した。 平成29年度は、まずこれまでの研究成果をまとめた研究報告として、風景庭園の創始者であるウィリアム・ケントの造園手法についてガーデン・ヒストリー・ソサイエティが発行しているジャーナルGarden Historyへ論文を投稿した(Rie Maki, ‘The Baroque Characteristics of William Kent’s Garden Design in Rousham Garden’)。現在、再査読に向けて論文を修正中である。平成27年度にナショナル・トラストから受領し、28年度に分析作業を進めたクレアモント庭園の行動計画書(Claremont Actin Plan)に関する研究をまとめ、日本建築学会計画系論文集へ投稿準備中である。また、日本建築学会大会にて1960年代に始まるナショナル・トラストによる本格的な庭園保存・復元活動の先駆的事例であるウェストバリー庭園の構成の変遷と保存・復元の概要を報告し、同じく2019年度に先駆的事例であるクルーム・パークについて研究報告予定である。
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