本研究課題では、英国のナショナル・トラストによる庭園の保存・復元活動を対象とした。 クレアモント庭園の活動計画書(全9巻)の分析を通し、具体的提案は資料の有無や調査・研究の今後の可能性、維持管理の問題が総合的な検討にもとづいていること、活動目的である「全体的な調和」に関しては、必ずしも明瞭な指標が示されていないことを明らかにした。 また、トラストによる活動の変遷と、2つの先駆的事例における庭園構成の特徴を復元する手法を明らかにした。トラストの保存理念は設立当初の「永久保全」から「変化の注意深い管理」へ変化しており、庭園の保存理念の変遷を新たな研究課題として提示することができた。
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