近年、自動車軽量化のために時効硬化型Al-Mg-Si 合金板の使用が積極的に進められているが、比較的フラットなパネルに限定されている。ドア・インナーパネルのような複雑な形状をもつ自動車部材では深絞り性が非常に重要である。 冷間圧延と温間異周速圧延を適切に組み合わせ、深絞り性向上に好都合な{111}再結晶集合組織を溶体化処理中に発達させることを目的として、再結晶集合組織の形成機構と最適熱処理プロセスを検討し、冷間圧延のみの従来材よりも良好な深絞り性が得られた。さらに溶体化処理後の時効挙動を調査し、焼付塗装による高強度化の可能性を示唆する結果が得られた。
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