子どもの脳には、経験に応じて神経回路を形成する「臨界期」がある。これまでに、ホメオ蛋白質Otx2が視覚の臨界期を制御することを明らかにした。そこで、Otx2の標的遺伝子としてホメオ蛋白質(転写因子)に注目し、臨界期における作用を検討した。まず、Otx2がプロモーター領域に結合し、直接発現を制御する標的遺伝子を網羅的に探索した。その結果、数種のホメオ蛋白質を同定した。さらに、Otx2は最初期遺伝子(転写因子)の発現を、待機状態(神経活動により即転写を開始できる状態)にすると推測された。このことは、Otx2の標的遺伝子カスケードが回路の可塑性に広く関与することを示唆している。
|