腎癌細胞の増殖、浸潤および転移の過程において、転移と関係が示唆されるDSGb5糖鎖を同定してきた。この糖鎖は腎癌細胞表面に単独で存在するのではなく、細胞二重膜に浮かぶ脂質を多く含んだ筏(lipid raft)の構成分子として存在する。このlipid raftが腎癌の新規治療のターゲットなり得るかを検証した。その結果、DSGb5糖鎖の発現により腎癌細胞が増殖能を亢進させることを明らかにした。また、臨床検体を用いた検証にて、DSGb5高発現症例で血管侵襲が多く、予後不良であることを明らかにした。以上から、DSGb5糖鎖を含むlipid raftが治療のターゲットなり得ることが示唆された。
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